LIXILが開発した衛生陶器「アクアセラミック」は、トイレが汚れる原因となる「汚物」「水アカ」「キズ」「細菌」という4要素すべてに対応することで清掃性を向上。「新品の時の白さ輝きが100年続く」トイレを実現したという。同社が独自の抗菌技術「キラミック」を使ったトイレを発売したのは1994年。それ以来20年あまりの歳月を費やし、汚れに強い衛生陶器を追求してきた。まさに同社の技術開発の集大成と言える。
一般的に、汚物の付着を防ぐには陶器表面に親水性を持たせることが必要。逆に水アカの付着防止に必要なのは撥水性(はっすいせい)だ。同社は、陶器表面に塗布する釉薬(ゆうやく)に、防汚機能の役割を果たす特殊な物質を一体化させ、陶器表面に親水性を持たせながらも水酸基が露出しない構造とすることでトレードオフの関係にある二つの汚れ対策を両立させた。主力のトイレ「SATIS」での実用化を皮切りに便器、小便器、洗面化粧台などに展開している。
「アクアセラミック」は衛生陶器に関する四つの汚れをしっかり解決している点に特徴があります。
私が入社した30年前は汚物をしっかり流すのが技術開発の方向性でした。その後、環境に対する意識の高まりから節水性能も重視されるようになり、次は「掃除をラクに」ということになりました。調べれば調べるほどいろいろな汚れがあり、技術的な難易度は高かったですが、長年にわたる取り組みの集大成と言える製品ができました。
こうした取り組みが評価されたのは非常にありがたく、セラミック一筋でやってきた私としてもうれしい限りです。