NTNの自動車トランスミッション向け「低トルクシールリング」は、シール性を維持しながらトルクを従来品比で60%低減した。燃費改善につながる部品として、自動車メーカーや自動車部品メーカーなど、複数企業から受注を獲得して、量産を開始している。
シールリングは、トランスミッションの油圧回路内で相対運動する軸とハウジングの間で、しゅう動しながらオイルを密封する役割を担う。1台あたり4-20個が使われる。
低トルクシールリングは、特殊充填材を配合したPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂製。しゅう動する幅面に設けたV字状の潤滑溝を形成することで、動圧効果でオイルを安定供給し、低トルク化を実現した。
子会社のNTN精密樹脂(三重県東員町)で月産10万個で量産を始め、順次増やす。エネルギー伝達効率向上に向けて多段化が進むトランスミッションでは、シールリング使用数も増加傾向で、需要拡大が期待できる。
このたび、「環境関連部品賞」を賜り誠に光栄に存じます。
「低トルクシールリング」は、好評いただいておりました「ベアリー」材(NTN独自開発のしゅう動材)による摩擦低減に加え、精密な射出成形技術を活用したV字状の潤滑溝により発生する動圧が油膜を形成することで格段の低トルクを実現しました。トランスミッション用シールリングに求められる低トルクとシール性能の両立が可能となり、多くのAT(オートマチック)車に適用いただいています。今回の受賞を励みに、さらに低トルク化の技術を磨き、自動車の低燃費化ならびに環境負荷の低減、日本のモノづくりの競争力向上に貢献してまいりたいと存じます。