共栄プロセスの介護用人体移乗降器具「ONBU(オンブ)」は、肘を固定する独自構造により介護する人、される人双方の肉体的負担を軽減できる。「体操競技の平行棒からヒントを得て開発した」(真保勇夫社長)。
両腕・肘を95度に曲げて胸部と一体のホルダーに固定し、上半身を傾けホルダーを上昇させる。肘は痛さを感じにくいのを利用した。肘で体重を分散して胸部への負荷を軽減するため、抱きかかえられるより胸部の圧迫感が少ない。
移乗降器具は車いすとベッドや車などの移動に使う。しかし従来の器具は大型で扱いにくい、介護者の負担が大きいなど課題が多かった。
ONBUは肘を力点として被介護者の体重を支えるため器具を小型・軽量化できる。非力な女性でも被介護者を容易に、安全に移動させることができ落下も防げる。2015年に東京都や浜松市内の介護施設で体重100kgでも短時間で乗降できることを実証確認した。好評を得て、早期の実用化を目指す。
介護者、被介護者の双方にやさしい移乗器具を開発しました。今までの移乗器具では、腰が曲がらない、両腕まひ、円背などの症状の方に利用できるものがありませんでした。
今後は、在宅で老夫婦がお互いに介護することが想定されます。今回の受賞により開発意欲が湧いており、現在は特別養護老人ホーム向けの移乗器具の開発を行っています。そのような意味でも今回の受賞を本当にうれしく思います。