製品概要
4枚刃仕様の刃先交換式ボールエンドミル。主に自動車向けをはじめとする大物プレス金型の仕上げ加工のために開発した。インサート(刃先交換チップ)の固定方法を工夫し、刃先交換式では難しかった4枚刃を実現した。刃先交換式4枚刃ボールは業界初という。プレス金型に多いダクタイル鋳鉄FCD600を被削材とした場合、これまで主流だった2枚刃タイプと比べ、2倍以上の加工能率と寿命2倍をかなえた。
工作機械は門型マシニングセンターやガントリータイプの大型工作機械などでも主軸回転数が毎分2万回転以上、送り速度が同20m以上と高速化している。一般に、高速加工は立方晶窒化ホウ素(cBN)工具の領域だが、材質がもろくチッピング(欠け)が生じやすい課題がある。開発品はこうしたcBN工具の高速切削領域をカバーする。
固定は親刃を斜め方向からネジ留めする方法を考案し、子刃2個分の取り付けスペースを確保した。親刃と子刃インサート3個で4枚刃としている。
日立ツール 成田工場 開発センター長
赤松 猛史 氏
このたびは栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思っております。今回受賞することになった「アルファボールプレシジョンマルチフルートABP4F形」は、従来2枚刃が主流であった仕上げ用刃先交換式ボールエンドミルを、独自のインサート固定方法により、業界で初めて多刃化(4枚刃化)を実現した商品です。これにより、金型の仕上げ工程において従来よりも2倍以上の高能率化を実現し、金型製作におけるリードタイム短縮や加工コストの削減が可能になりました。また、応用技術として仕上げの前工程でも高能率化を実現し、仕上げ加工の軽減にも効果を発揮します。今回の受賞を励みに、これからもお客さまにご満足いただける商品の開発にまい進し、日本のモノづくりに貢献してまいりたいと思います。
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