製品概要
日本ジャバラ工業の「テレスコカバー用衝撃吸収装置"DICシステム"」は、機械の摺動部を切削油や切り粉などから保護しつつ、衝撃や騒音を抑えて工作機械の加工精度の向上を目的に開発した。カバーは制振装置のダンパーユニットとカムプレート機構により省スペース化が図れる「DICシステム」を採用。伸縮時のカバーにかかる慣性を制御して衝撃や振動を抑え、従来のゴムクッションの収容スペースへの装着を実現した。
幅2.5m×長さ10mの製品を使い、分速30mで伸縮させた同社の試験では、システム未装着製品に比べ、衝突音は90db(デシベル)が76dbに、衝撃・振動は1Gが0.4Gと大幅に改善させた。大型の門型マシニングセンターや平面研削盤への採用を積極化するほか、小型化への検討も進める。 Voice 日本ジャバラ工業 代表取締役 田中 信吾 氏
今回の製品は、大型工作機械の高速化に伴い増大する衝撃音や振動を抑え、機械の精度を高めたいという顧客の声に応えた製品で、開発・設計課の社員10人が約4年かけて完成しました。完成後、会社の年次計画目標「技術コンテストで入賞」を実現のために彼らが自主的に応募したもので、それだけでも大変うれしいのですが、まさか受賞するとは。社内の士気も高まり経営者冥利に尽きます。実際、受賞の電話に社内に「ウォー」と歓声が響いたほどです。
今後は、わが社の基本方針「素晴らしい商品でも売れなければ失敗です」に則り、この素晴らしい商品をしっかり販売していきます。 |
製品概要
日立ツールの「エポックハイハードボール」は、高硬度鋼を直彫り加工する際の能率向上を目的に開発した4枚刃ボールエンドミル。金型の長寿命化に向け、高硬度鋼の使用が進んでいることに対応した。刃数を2枚から4枚に増やすことによる問題点を解消。刃数の増加に見合った約2倍の加工能率向上効果を確実に得られるようにした。
一般的にボールエンドミル先端の中心部は、切削速度が理論上ゼロのため切削性能が悪い。さらに刃数を多くすると、その分、切りくずを排出するための空間(チップポケット)が小さくなり、切りくずのかみ込みによる刃先の欠損が起きやすくなる。こうした理由から従来の4枚刃仕様は刃数を増やしたなりの能率向上効果が得られず、普及が進んでいなかった。 受賞製品は、先端部に微小な特殊底刃(エンド刃)を設け、切削速度ゼロ点をなくした。チップポケットの形状も改良。切れ刃の配置間隔を不均一にした「不等分割形状」により、深い部分などの加工で生じるビビリ振動を最小限にした。外周刃を使った加工にも対応し、能率を大幅に高められる。 Voice 日立ツール 代表取締役社長 田中 啓一 氏
今回開発した「エポックハイハードボール」は、主に金型加工分野における焼入れ鋼への直彫り加工をターゲットに開発を進めてきた工具です。革新的な刃先形状の開発に成功し、従来より課題の多かった焼入れ鋼への直彫り加工において高能率で長寿命な加工を可能にしました。また、ボールエンドミルでありながら外周刃を使用した加工方法にも対応し、最新のCAD/CAMとの相乗効果で従来にはない高能率加工を可能にしました。 今後もお客さまの抱える課題を解決し、顧客の要望に応えることで常に「日立ツール」を身近に感じてもらえるような存在でいれるようモノづくりに励んでいく所存です。 |
製品概要
不二越の「アクアドリルEXフラットシリーズ」は、自動車部品や機械部品の穴あけ加工に用いるドリルで、先端角を180°完全フラットにするという、常識を覆した独自形状が特徴。同形状の採用により、これまで難しかった傾斜面の一発穴あけ加工を可能にし、貫通穴を加工する際の裏バリの発生を抑えた。
従来のドリルは、先端が140°程度に尖った形状が一般的。ただ、曲面や傾斜面を加工する際に食いつきの悪さから横滑りが発生しやすく、1本のドリルで精度良く加工するのが困難だった。また、従来ドリルは被削材を押し広げるように加工するため、貫通穴の加工時に大きな裏バリが発生しやすく、後工程でバリ取りの手間を要していた。 受賞部品は、180°完全フラット形状の採用で、こうした問題を解決。穴あけ加工の工程集約や生産性向上、精度向上、コスト低減に寄与する。高能率加工に適した超微粒子超硬合金と、耐熱・耐摩耗性に優れたコーティングを組み合わせており、耐久性を向上。潤滑性の高いコーティング膜を施すことで切りくずとの摩擦抵抗を低減し、耐溶着性も向上させた。 Voice 不二越 取締役 工具事業部長 堀 功 氏
このたびは名誉ある「機械部品賞」の受賞、誠にありがとうございます。これもひとえに「アクアドリルEXフラットシ リーズ」をご使用いただいているユーザー様からのご支持のおかげと感謝申し上げます。 受賞部品は、先端が尖っているというドリルの常識を覆した完全フラットな先端形状により、穴あけ加工現場の共通課題であるバリ低減と、傾斜面への一発加工を両立させ、大幅な生産性改善に寄与します。この革新的発想と高い性能により、新しい加工技術を創出できたと自負しております。 今後もユーザーサイドに立った商品開発で、モノづくりの世界の発展に貢献してまいります。 |
製品概要
ケーエスエスの「超コンパクト複合機能(V-Z-θ)アクチュエータ」は、シリンダーが上下に動くと同時にボールネジの軸が回転し、軸の中空穴に正圧、負圧を加えて吸着できる。電子部品実装機などにサブユニット製品(アクチュエーター)として組み込み、微小な部品をつまみあげて置くといった動作を可能にする。直動、回転、吸着を同時にできるアクチュエーターは初めてで、大きさも最小クラスを実現した。
直動機能を担うミニチュアボールネジ、案内および回転機構の役割を果たすミニチュアボールスプラインを一体化した。ボールネジ、ボールスプラインのナットにベルトやプーリなどを介さず、中空モーターに直接取り付ける「ダイレクトドライブ方式」を採用した。 また、中空モーターと市販のモーターを組み合わせたハイブリッド方式もラインアップしている。これにより顧客の設計・組立工数の削減と省スペース化を図る。同社はミニチュアボールネジ専門メーカーとして積み重ねた開発製造ノウハウをフル活用し、製品化した。 Voice
ケーエスエス 取締役 営業副部長 飛ヶ谷 正博 氏 当社は、長年にわたりミニチュアボールネジの専門メーカーとしてお客さまの装置の小型化に寄与してきました。近年は単なる機械部品メーカーとしてだけでなく、機能の複合化やユニット化に着手し、お客さまへの提案型開発企業を目指してきました。 受賞した部品は、ひとつのユニットで直動、回転、吸着の3つの機能を可能にしており、構成部品の一つひとつにモノづくりのノウハウが詰まっています。当社の技術を結集した製品がこのような賞を頂けたことは、われわれが目指す理想の姿に少し近づいたのではないかと思います。 今回の受賞を励みに、今後もお客さまのニーズをいち早く取り入れ、常にお客さまへ新しい製品を提案できるように心がけてまいります。 |
製品概要
新世代加工システムの「金型磨き加工の無人化ツール『機上ポリッシングツール』」は、金型仕上げの磨き加工を自動化するためのツール。金型の切削・研削加工に用いたNC工作機械にそのまま取り付けて、金型磨き作業を行うことができる。50nm(nは10億分の1)程度に表面粗度を均一に仕上げすることが可能だ。各種精密部品、光学部品向けなど30cm四方程度までの金型磨き加工に向く。手磨き仕上げする場合に比べ、金型の製造工数全体を3割程度削減できる。低圧のバネを内蔵したダンパー機構の採用により、前加工で作った形状に磨き工具の端面が倣うため、自由形状の金型磨きが容易だ。加工速度は毎分5000回転、1万回転、2万回転の3タイプを用意。磨き工具には弾性のある専用のラバーボンドダイヤモンド砥石(ハイブリッドラビン)を用いる。工具の先端径は1mm-30mm。
2012年10月の発売以来、メーカーの金型部門などからの引き合いが相次いでおり、既に実用化されたケースもある。今後は、加工可能な金型サイズの拡大を図り、平面パネル製品向け金型などにも対応していく。 Voice
新世代加工システム 代表取締役社長 丸山 敦 氏 金型加工における仕上げの磨き工程は、国内でも、まだ9割程度が人手に頼っているといわれています。日本のモノづくりをこれまで陰で支えてきたこうした職人の引退が加速しており、製造現場は、深刻な職人不足にさらされています。 そうした時代背景にも動機付けされて、今回の「機上ポリッシングツール」を開発致しました。開発から1年ほど経過しましたが、数多くの引き合いを頂いております。口頭による説明というよりも、実際の加工シーンを見て頂くことで、その機能をご理解頂いております。 微力ではございますが、日本の金型業界のお役に立てるようさらに精進してまいる所存です。 |
製品概要
ボールネジは、ネジを切ったシャフトとナットと呼ばれるスライド部、ボールを組み合わせた機械要素部品だ。ボールを取り付けたナットがシャフトの回りを回転することで前進・後退する。直線運動を"転がり化"することで駆動を円滑化し、精密位置決めも可能とする。
日本精工が開発した「ダブルナット冷却ボールねじ」は、ナット部に冷却機構を設けているのが特徴。ボールネジは、ナットの駆動により温度が上昇するとシャフトのネジの間隔が変わり、精密位置決めが難しくなる問題がある。冷却機構を設けることでこの問題を解決。大型工作機械の高精度化に役立つ。 従来、ボールネジの冷却方法としてはシャフトを中空化して冷却液を通す方法があったが、長さ10m程度の大型品は加工が難しくコストもかかっていた。ナットを冷却するケースだと、ナットの予圧変化が課題だったが、予圧方向を引っ張り方向とすることで、冷却時の予圧荷重増加を回避した。2つのナットを独立して冷却することで予圧荷重低下時に冷却液漏れを防ぐよう工夫した。 Voice 日本精工 取締役 代表執行役専務 産業機械事業本部長 松原 正英 氏
当社のボールネジなど精密機械部品事業は、創業から半世紀を迎え、多くのお客さまに製品をご使用いただいています。半面、これまで常識と考えられていた技術や方法に無意識に頼っていた部分も否めません。軸受を中心とした回転型の機械要素部品において、外輪やナットなど外側に位置する部材を冷却することは、熱収縮の観点から困難とされていました。 今回の「ダブルナット冷却ボールネジ」は、そのような常識を疑い、果敢に挑むことによって生まれた新製品だと思います。今回の受賞を励みにして、今後も常識に挑戦する気概を忘れることのないよう、技術革新にまい進してゆく所存です。 |
製品概要
椿本チエインの「つばきケーブルベヤ TKZP形」は、シート状態から折り曲げてジップ部を閉じるだけで、ケーブル・ホースがセットできる業界初のケーブル・ホース支持案内装置。ケーブルベヤは商品名。新構造によりケーブル・ホースの挿入やメンテナンスが極めて容易になった。また、ケーブル類を保護しつつ複数本をまとめたり美観を高めたりもできる。従来のケーブルベヤ同様に一方向のみに曲がる機構により、安定した動作を行うことに加え、ショートピッチとリンクレス構造により低騒音、低発塵を実現。ケーブル・ホースの保護とクリーン環境の維持に貢献する。
コストパフォーマンスにも優れ、従来はケーブルベヤを含めた支持案内部材を使用していない箇所でのケーブル・ホース保護や美観向上、スパイラルチューブなどケーブルベヤ以外の保護部材に対する機能向上を目的とする置き換えにも最適。用途は従来と同様に半導体・液晶関連製造機器など幅広く、スペースの問題で活用が難しい場所でもケーブルベヤを使えるようにした。 Voice 椿本チエイン 取締役 常務執行役員 チェーン・精密部門統括 チェーン製造事業部長兼 京田辺工場長
鈴木 恭 氏 栄誉ある賞をいただき大変光栄に思います。 商品開発のきっかけは、自動車業界からのさらなるコストパフォーマンスの要求。もちろん、ケーブル支持案内装置としての機能、性能は確保しなければなりません。耐久性も落としてはいけません。これに応えるためには既存の構造では限界があり、発想を大きく変えて業界初の構造の商品開発に取り組みました。結果、完成したこの商品は自動車業界だけでなくあらゆる業界で評価いただけると考えます。 今後も市場のニーズを重視し、マーケットインによるオンリーワン商品の開発を進めてまいります。 |
製品概要
ソディックの「TMMアンプ」は、各種モーターを制御するための駆動電源装置で、超精密・高速の工作機械や露光装置などへの搭載を想定している。従来のPWM方式、PAM方式、リニア方式の3方式回路の利点を高度化するとともに、3方式の欠点を一気に解決する次世代アンプとして開発した。
従来のPWM方式は、パワー素子の駆動周波数が最大40KHz程度。これに対し受賞製品の「TMMアンプ」は、最大1MHzの周波数でパワー素子を駆動する。上位速度制御部からの指令電流に対する遅れ時間を、従来の25μ秒(μは100万分の1)から1μ秒-2μ秒と最小限に抑え、リニアアンプとほぼ同等の性能を実現した。「TMMアンプ」は、半導体スイッチを完全にオン・オフさせて駆動するため、リニアアンプの課題である熱損失も抑えられる。 超精密高速加工機の開発には駆動制御系、機械系、数値制御(NC)系などの要素技術を最適に組み合わせる必要がある。これまでアンプの開発が遅れていたが、「TMMアンプ」の登場により、超精密高速加工機の開発進展が期待される。 Voice ソディック 代表取締役社長 金子 雄二 氏
モーター駆動電源装置は、モーターとともに工作機械や産業機械を駆動するためには無くてはならない重要な部品で、特に高速かつ高精度に駆動したい場合には、その性能が大きく影響します。 今回、モーター駆動電源装置「TMMアンプ」の優れた高速性が評価され、このような栄誉ある賞をいただき、とてもうれしく思います。「世にないものは自分で創る」という弊社のモットーから生まれた製品であります。また、技術スタッフたちの努力と成果で開発出来たことは、感謝の気持ちでいっぱいです。今後も、未来を創るソディックグループは、モノづくりに貢献できる技術革新に挑戦していきます。 |
製品概要
オリエンタルモーターの「スピードコントロールユニット『NexBL UStype BMUシリーズ』」は、コンベヤーなど搬送装置に使用されるスピードコントロールモーター。従来に比べ1.8倍のパワーウエートレシオ(単位重量あたりの出力)を実現させるとともに、全長を従来比10%削減。消費電力も同13%低減した。
独自のデジタル表示器などを開発することでドライバ部も省スペース化。価格も抑えることで、製品の競争力を大幅に高めている。 一般的に同タイプのモーターは構成部品の消耗により破損に至る。巻き線の高密度化や高性能磁石、低損失電磁鋼板の採用により銅線や鉄板の損失を低減。機械損を増やさずにギアグリース漏れを低減させるという品質向上を同時に達成できた。 使用部品の削減や構造見直しにより大幅な低価格化も実現した。従来機種を上回るペースで販売が続いている。今後もさらに幅広い業界、用途での採用が見込まれている。 Voice
オリエンタルモーター 常務執行役員 鶴岡技術統括部長 中崎 勝彦 氏 「スピードコントロールユニット『NexBL UStype BMUシリーズ』」は、すべての世の中の「動き」に関わり続けたい、近年の省エネルギー化のニーズに応えていきたい、そしてお客さまの問題解決に繋がる商品を提供したいという想いから開発した商品です。小型化・省エネ化・高効率化と、機械損を増やさずにギアグリース漏れを低減させるという品質向上を同時に達成させることがモノづくり面での大きな課題でした。この点を評価いただき、賞をいただけたことに感謝いたします。 今回の受賞を励みとして、今後もお客さまのモノづくりに貢献できる商品の開発に取り組んでまいります。 |