製品概要
自動車の燃費改善効果が5-10%と高く、近年急速に普及しつつあるのが停車時にエンジンを止めるアイドルストップ技術。実用化のカギの一つが再発進をいかにスムーズにするかだった。ジェイテクトの「アイドルストップ用電動オイルポンプ」は、そのための基幹部品。変速機に取り付けられ、停止時にも変速機の油圧機構に最小限の圧力をかけつづけることで、再発進を容易にする。
小さな本体の中に制御基板とモーター、ポンプが一体化されている。エンジンルーム内に設置するため過酷な環境に耐え、かつさらに小型化する必要があった。このため、最大の部品だったモーターの設計を全面的に見直した。永久磁石を筒型から分割型に変え、接着剤を使わず機械的に固定するように変更。軸受も回転ローターの中に配置するようにした。 これにより縦方向に30%扁平化。さらに筐体はアルミから樹脂に変えた。従来品に比べ全体の体積と重量を30%低減。消費電力は最大47%、コストは50%低減した。国内シェア70%を持つ有力商品として、今後一層の普及を図っていく。 Voice ジェイテクト 執行役員 酒井 俊文 氏
このたびの受賞を大変光栄に思います。御尽力頂いた関係各位に心から感謝申し上げます。 「アイドルストップ用電動オイルポンプ」という、省エネルギー化時代にマッチした製品を、モーターの扁平構造や接着剤を使わない磁石の機械的接合方法など、従来の設計・製造概念に捉われずチャレンジすることで大幅な小型化を実現し、搭載性を画期的に向上できたことが評価された結果と思います。アイドルストップの燃費改善効果は5-10%。今後ますます普及していく技術と思います。 受賞を契機に更なる技術革新にチャレンジし、省エネルギー化に貢献していきます。ありがとうございました。 |
製品概要
平安製作所の「センシング機能一体化CVT用ピストン」は、自動車の無段変速機(CVT)に搭載される回転数検知(センシング)機能を兼ねた部品。油圧を加えて可動させることで変速と同時に、円筒部外周面の歯形によってCVTの回転数をセンシングする構造になっている。ピストン部は高い油圧に耐える必要があるため、従来は高強度な鋳物を使用。センシング部も別途カップ成形していた。
ただ、この方法では低コスト化や軽量化は困難だった。そこで独自のニア・ネット・シェイプ(最終製品に近い形状を得る成形法)成形技術を開発。これまで2部品構造だったピストンを一体化することに成功した。2部品構造を一体化することで、部品に必要な強度・性能を確保しつつ、大幅なコストダウンを実現した。多くの工程をプレス加工で行い、コストのかかる切削工程を最小限に抑制。従来の鋳物品に比べ45%のコスト削減につなげた。 2012年4月から自動車メーカーに納入を開始。出荷数量は約50万台を数えるが、不具合は一切なく、顧客から大きな評価を得ている。 Voice 平安製作所 代表取締役社長 高橋 鉄次 氏
当社の開発した「センシング機能一体化CVT用ピストン」が栄誉ある「自動車部品賞」をいただき、大変光栄に思っております。 CVT搭載による自動車の燃費性能向上は、低炭素社会に求められる一つの要請であり、CVT搭載車の需要は増加することが見込まれます。同製品は、鋳物製に比べ重量を4割削減。自動車全体の軽量化につながり、燃費性能や運動性能の向上に貢献します。CVTピストンの市場占有率100%を目指し、同加工技術を各自動車メーカーに提案していきたいと考えております。 今回の受賞を励みに、今後もお客さまに喜ばれる製品の開発に取り組んでまいります。 |
製品概要
自動車のシートは通常、金属の骨格上にモールドウレタン製のクッションを配置しカバーで覆う「かぶせ工法」で作られている。
トヨタ紡織の「表皮一体発泡工法を用いたスポーツシート」は、ウレタン成形用金型の中にあらかじめカバーをセットしておき、そこに液体のウレタン材料を注入、加熱して発泡させ、シートを一体成形する。逆転の発想による工法だ。 実現に当たっては、複雑なカバーを取り付けやすくしたり、カバーを傷つけずに取り出せたりするために金型の機構を改良。シート表面にウレタン材料がしみ出さないよう、あらたな材料開発も行った。カバー材料は布、合成皮革、本革のいずれにも対応する。 従来工法では難しかった凹面形状をはじめ、より直線的なフラット面や研ぎ澄まされた削ぎ面など、多彩なデザイン表現が可能になる。シート本体のフィット感やホールド性など、座り心地も向上した。 2013年に発売されたトヨタ自動車の新型「レクサスIS」のスポーツタイプで初採用。今後も独自開発の高級車用シートとして普及を進めていく。 Voice トヨタ紡織 取締役副社長 滝 隆道 氏
このたびは「自動車部品賞」を賜り、開発メンバーともども大変うれしく思っております。 当社は、自動車の内装空間をトータルに企画・開発するメーカーとして、特にシートは"乗員がクルマとの一体感を味わえる乗り心地"の追求に日々取り組んでおります。 今回量産化に成功した独自の「表皮一体発泡工法」は、設計、生産技術、製造が一体となり試行と研究を重ね、高級車にふさわしい究極の乗り心地とデザインを高い次元で両立できました。 今後もこの工法を、当社のモノづくりを支えるコア技術のひとつとしてさらに進化させ、世界のお客さまに魅力的なシートを提案していきます。 |