製品概要
オーエスジー株式会社の「サイレントラフィングエンドミルシリーズ」は、切削中に工具が振動する現象である「ビビリ」を減らしたラフィングエンドミル(主に粗とり用に使う側面の切れ刃に凹凸があるエンドミル)。振動の発生リズムをずらす刃の形状を編みだし、振動の増幅に起因するビビリを抑制した。送り速度や削る量が増やせ、工具の生産性や寿命が向上した。加工中の音が静かなことも特徴で、作業環境の改善も期待できる。この製品は旧来類似品と比較すると、3倍近く売り上げを伸ばした。ランニングコストが減らせるトータルでの経済性の高さが評価されている。同時に、粗加工工具のライナップを拡充し顧客の要望に応じている。
Voice オーエスジー株式会社 代表取締役社長 石川 則男 氏
「奨励賞」をありがとうございます。「粗加工の能率を上げたいが、切削音とビビリが発生してしまう」。担当者はこういったお客さまの声をもとに、今回の製品開発をしてくれました。工具設計では特に刃先仕様に独創性をもたせ、材質やタイプも用途に合わせて使用できるようにバリエーションを揃えました。生産性や耐久性向上により、モノづくりの現場における経済効果も期待できます。加工音の静かなことから作業環境の改善も図れます。今後も経済性・安全性・環境性を考慮し、お客様に喜ばれる製品を開発していきたいと思います。ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
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製品概要
ガリューの「メカスイングノズル」は、噴射時の反作用を生かしてノズルが左右方向に高速運動し、従来のフラットノズルに比べて半分のエア使用量で5倍以上の効果を発揮する。生産工程における除塵、水切り、冷却、乾燥、薬剤除去の効率化に利用できる。口径約2mmのノズルが50-120°の角度で動き、エア圧力が0.4MPa(メガパスカル)の場合で毎秒11回スイングする。ノズル形状を拡張しないため、エネルギーを分散させずに約500mmの範囲にエアを噴射できる。チューブ部分を3重構造にして耐久性を高め、2000時間以上の寿命を保てる。大手メーカーの工場で実証した結果、全体のエア使用量を9割削減できるという結果を得ている。
Voice ガリュー 代表取締役 長谷川 可賀 氏
今回「奨励賞」を受賞させていただいた「メカスイングノズル」は、顧客の要望をヒントに特許化し、商品化することができました。顧客から提供いただいたアイデアをモノづくりで顧客にお返しする、ということがわが社のモットーです。これまで開発・販売してきた商品の9割以上がこうした関係の上で成り立っています。顧客に喜んで使っていただき、販売店にもプラスになり、わが社も収益が上がる、という形で関わる人すべてが「勝ち組」になるように心がけています。顧客の声があるからこそ商品の用途も広がり、次の開発の足がかりも生まれます。 今後も皆様の温かいご助言やお知恵をお借りし、真摯に商品開発を進めていきたいと思います。 |
製品概要
ノリタケカンパニーリミテドの「固体酸化物形燃料電池(SOFC)用封止ガラス」は、セラミックス製セルと金属部材を接着する基幹部品。セル中の水素や都市ガスなどの還元性ガスが空気と混じらないよう遮断する。
一般的なガラスの熱膨張係数が3-5ppmなのに対し、同社製品は10-14ppmとセラミックスや金属に近く、温度上昇や下降を繰り返してもガラスが壊れにくい。また、従来品はセラミックスの劣化につながるホウ素やナトリウムを含むのに対し、同社製品はシリカを主体とするため劣化しにくく、SOFCの長寿命化に寄与する。既に燃料電池の特性に応じて粉末やペースト、リング状にしたサンプル品の出荷を開始。早期の事業化を目指す。 Voice
ノリタケカンパニーリミテド 取締役 専務執行役員
開発・技術本部長 中川 正弘 氏 「奨励賞」を頂戴し、大変光栄に存じます。 今回開発した「固体酸化物形燃料電池(SOFC)用封止ガラス」は、当社が食器や砥石で長年培ってきたセラミックス材料技術を高度に発展させたものです。燃料電池がクリーンな省エネルギー技術として期待を集める中、当社はキーマテリアルとなる封止ガラスの開発に取り組んでまいりました。受賞した「新規封止ガラス」は、耐久性が高く、従来できなかった高効率な発電条件を可能にするなど燃料電池のさらなる発展に貢献できると考えております。今回の受賞を励みに、今後もお客さまに喜んでいただける部材開発を行い、社会に貢献できるモノづくりに取り組んでまいります。 |
製品概要
三木プーリの「高減衰軸継ぎ手(カップリング)『STEPFLEX』」は、衝撃や振動の吸収性が高いモーター用カップリング。アルミハブの間に軟質と硬質の2種類の積層ゴムを挟み込み、金属板バネ内蔵タイプに比べねじれ振動に減衰効果が高い。1種類のゴムだけで形成した単層ゴムの製品に比べ偏心や偏角といったミスアライメント(ずれ)による反力を最大で半減できる。完全一体構造のため同軸度精度が高くて、バックラッシュ(がた)がない。サーボモーターとステッピングモーターに対応、モーターの仕様に応じて5種類を用意。共振自体を抑えるため、フィルターの設定が不要だ。
Voice
三木プーリ プロダクト本部 開発部 開発グループ 里見 孝行 氏 このたびは「奨励賞」を頂戴し、光栄に存じます。 この製品は「お客さまの課題に応える」という当社の取り組みから生まれたものであり、振動減衰のみに留まらず、この製品をお使いいただく装置の長寿命化を図ることも視野に入れて開発しました。開発ポイントは振動減衰でしたが、複数のコンピューター利用エンジニアリング(CAE)を駆使する設計技術により、減衰能力、ねじりばね定数、耐久性は従来品と同等としながらも、軸方向反力を約40%低減、偏心反力は約30%の低減を実現しました。装置の高タクト化、省エネ化に寄与し、起きている課題対策としてお役に立つカップリングだと考えています。 |
製品概要
入江工研の「FFT_Valve」は、フレキシブル基板のフィルムを量産する際の真空蒸着装置などに対応したバルブで、ロール状のフィルムの出入り口を作りつつ真空状態を保てる技術を確立した。バルブ内部に差動排気機構を組み込むことで、真空側から大気側に弁体を封止する逆圧に対応している。フィルム出入り口の形状を工夫してシール性を高めた一方、粘着性は抑えてスムーズにフィルムを送り込める。ロール部分を大気中に設置できるため大規模な真空設備が不要になり、人が立ち入っての調整も簡単にできる。携帯端末ディスプレー、太陽電池、有機EL照明などに用いるフレキシブル基板の普及に備え、量産設備向けに提案する。
Voice 入江工研 代表取締役 入江 則裕 氏
フレキシブル基板の量産時代を見据えて5年前から開発を始め、真空分野では非常識とされるような条件下での製品作りに挑戦しました。バルブ製作の際にシール部分のゴムが貼り付いてしまった、という以前の失敗体験を生かして、真空を保ちながらも粘着しない出入り口の開発に成功しました。技術面で評価をいただき、大手企業と肩を並べて受賞できたことの価値は大きいと考えます。認知度が広がり、技術者の励みになります。 今回の製品はフレキシブル基板の普及を待って世に出るため、成果が見えるのは5年ほど先になると思われます。それだけ時代に先駆けた部品です。今後もニッチ分野で常に最新技術を開発し、アイデアで勝負してまいります。 |
製品概要
東海旅客鉄道(JR東海)の「新幹線用静止形切替用開閉器」は、新幹線が変電所の給電エリアをまたぐ際に、電車線の電源を瞬時に切り替える装置。従来の機械式から半導体式とすることで機械的な駆動部分を排除した。これにより機械式で年間5件程度発生していた故障を減らし、輸送の安定性向上につながる。
新幹線は、変電所の供給エリアによって電力系統の位相が異なるため、変電所を通過するたびに電車線の電源を瞬時に切り替えている。開閉器に半導体を用いる技術開発は、愛知県小牧市にある同社の研究開発拠点「小牧研究施設」で進められ、同技術が新幹線で導入されるのは今回が初めて。 Voice
東海旅客鉄道 新幹線鉄道事業本部 電気部長 森 厚人 氏 今回このような素晴らしい賞を頂き、大変光栄に思います。まもなく開業50周年を迎える東海道新幹線は、1日の平均運行本数が336本、1列車の平均遅延時分は自然災害の影響を含めても0.5分と安全・正確かつ高速・高密度な輸送を実現しています。新幹線の各変電所などに設置している切替用開閉器には、列車負荷を安定的かつ高頻度で開閉する機能が求められてきました。今後更なる進化を遂げた「静止形」を順次導入する計画です。 今後も東海道新幹線の安全・安定輸送はもちろんのこと、さらに高品位な輸送サービスの提供に向け、たゆまず努力してまいります。また製作に関わった関係メーカーの方々にこの場を借りて厚く御礼を申し上げます。 |
製品概要
JX日鉱日石エネルギーの「不織布 難燃ミライフ」は、独自のポリエステル製高機能不織布「ミライフR」を原料に、独トレビラ社の難燃性ポリエステル樹脂「トレビラCS」を使って難燃化した不織布。通常は布や不織布に難燃材を塗布またはコーティング処理して難燃化するのに対し、「難燃ミライフ」は素材自体が難燃樹脂のため、加工処理が不要。その分、コストを低減できる上、難燃材が脱落していくことに伴う性能低下もない。シルクのような独特の風合いも特徴の一つ。意匠性と防炎性の両方が求められる劇場や病院、ホテルなどのインテリアや、船舶・車両用などに展開していく予定。難燃性能の証明として、日本防炎協会の防炎製品認定を取得している。
Voice JX日鉱日石エネルギー 常務執行役員 機能化学品本部長
中野 治雄 氏 当社独自の素材である「ミライフR」は、シルクのような高級感・意匠性が評価され、インテリア素材などに使用されております。今般、さらに難燃性を付与することで製品の競争力をより強化できました。開発段階では、樹脂の選定、製造条件の調整など多くの課題がありましたが、グループの技術力により解決し、商品化に至りました。使用する難燃樹脂は非ハロゲン性のため、燃焼時の有毒ガス発生もなく、環境負荷低減も期待されます。 今後もJXグループスローガン「エネルギー・資源・素材のX(みらい)を。」の下、これらの分野における創造と革新を通じ、持続可能な経済・社会の発展に貢献してまいります。 |
製品概要
文化シヤッターの「簡易型止水シート 止めピタ」は、設置時間は最大でもわずか5分。ゲリラ豪雨に代表される集中豪雨への対策が叫ばれる中、「止めピタ」の最大の特徴は、設置の手軽さにある。シャッターの屋内側に水圧に耐える補強材を置き、屋外側には樹脂製の透明シートをシャッターにマグネットで"ピタッ"と貼り付けるだけ。専用の重りで床面に密着させ、固定することで設置は完了する。ゲリラ豪雨による浸水対策で土袋が一般的だが、手間がかかる。その点、「止めピタ」は約5分で設置できる。止水効果も1m2あたりの毎時の漏水量を約200に抑え、10倍超の効果がある。約50cmの高さの水位にまで対応できる。
Voice 文化シヤッター 商品開発部 菅野 展之 氏
このような賞をいただけて非常に光栄です。多発するゲリラ豪雨対策品である事と「スピード・軽量・コンパクト」という分かりやすいコンセプトが評価されたのではないかと思います。開発のヒントは営業マンによる「土のうより簡単にシャッターで止水できないか」という声でした。ビニールで試したところ、水圧がかかるとシートがシャッターに張り付くのを見て「これだ」と思いました。開発では簡単に設置できる点と突然のゲリラ豪雨に素早く対応できる点に徹底的にこだわりました。製品のラインアップを増やし、今後も止水事業を通じて社会貢献してまいりたいと思います。 |
製品概要
2013年5月14日の発売以来、好調な売り上げをみせるキリンビールの新ジャンル商品「澄みきり」。澄みきり酵母は、これの隠れた主役。香味を純粋にして、きめ細かな泡を造る強い発酵力、脂肪酸生成量とアルコール生成量が小さいという特徴を持ち、雑味の少ないすっきりした後味を実現している。5年の歳月をかけてビール用酵母株コレクションの中から選ばれた。研究所ラボから客レベルの品質・安全性確認に至るまで、キリンが持つ多彩な試験用プラント、高度評価分析機能や酵母解析技術を活用。クセのない味が消費者の評価を得て商品の快進撃を支えている。
Voice キリンビール 代表取締役社長 磯崎 功典 氏
このたびは「奨励賞」をいただき、誠にありがとうございます。 ビール類の製造になくてはならない存在の「酵母」が、このような賞をいただき日の目を見ることは、大変光栄なことです。 「澄みきり酵母」は、長い歳月をかけ、世界中の酵母の中から商品コンセプトを実現できるものを選抜し、あらゆる方面からの試験を重ねることで誕生しました。おかげさまで「キリン澄みきり」は、5月の発売以降大変ご好評をいただいており、当初目標からの上方修正もしております。 今回の受賞を大きな励みとして、今後も酵母の研究開発を続け、お客さまの求めるビール類の新しい香りや味を探求してまいります。 |