製品概要
感度2倍、低ノイズ
従来の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサーの画素構造と異なり、シリコン基板の裏側から光を照射する構造を採用しました。これにより感度を2倍に高め、低ノイズ化するなど撮影特性を大幅に向上しました。 一般に裏面照射型は裏面から光を照射することで、配線やトランジスタの影響を受けることなく単位画素に入る光の量を増大させる利点があります。しかし一方、暗電流や欠陥画素などイメージセンサーの画質低下につながる課題がありました。そのためソニーは裏面照射に最適化した独自の受光部フォトダイオード構造とオンチップレンズを新たに開発しました。 本技術は撮像特性を維持しながら、画素サイズやデバイスの小型化に貢献します。また高感度化により、補助光源などの出力を抑えられます。 |
製品概要
薄膜化・多配線化に対応
ハードディスク駆動装置(HDD)用ワイヤレスサスペンション回路基板です。HDDの磁気ヘッド素子を搭載する回路としてHDDサスペンションメーカーに採用されています。記録、再生の信号を伝送する回路本来の電気特性に加え、磁気ヘッド素子が安定してメディアの数ナノメートル(ナノは10億分の1)上を浮上する機械的な特性を併せ持つ点が特徴です。 「CISFLEX」はHDDの大容量化に伴う薄膜化、グランド配線を含む多配線化、多配線化に伴う銅配線のコンパクト化などのニーズにこたえるべく開発されました。独自開発の感光性ポリイミドなど素材技術や薄膜回路形成技術「セミアディティブ工法、ロールツーロールプロセスなどの生産技術を駆使しました。安定生産と設計自由度、性能、コストを確保しました。 |
製品概要
ぼやけ即時に改善
1枚の画像データを解析・処理し、ぼやけを改善する「1枚超解像技術」を取り入れたシステムLSIです。従来技術は複数のフレームから情報を集め画像処理していました。新技術はフレーム情報を蓄積する大容量メモリーが不要で、入出力時のフレーム遅延もありません。このため、消費電力を大幅低減した上で最小のコストで画質改善できます。 例えば、アナログテレビ放送やDVDなどの標準画質の映像データを、その6倍の解像度を持つフルハイビジョンテレビで表示する際のぼやけをリアルタイムに改善し、鮮明に表示することが可能です。画像データの入出力に幅広く普及しているビデオインターフェースを採用しており、既存システムに容易に組み込めます。プロジェクターやカーナビゲーションシステム、監視カメラなど応用は広いです。 |
製品概要
高密度実装可能に
全層ポリイミドIVH多層配線板は、携帯電話などに用いる内蔵基板の小型・薄型化、高密度実装を可能にします。従来の多層フレキシブルプリント基板(FPC)は、全層を貫通する穴を開けた上で層間配線する構造です。これに対し開発部品は特定の層間のみを配線するのが特徴です。 各層の基材にポリイミドフィルムを用いることで、あらかじめ回路を形成した基材をロール・ツー・ロールで一括積層して製造でき、コスト低減につながります。 基材間を配線する通電材には銅や銀などの金属粉をエポキシ樹脂と混合したペースト材料を採用しました。加熱プレス工程において200度Cで合金化するものの、合金化後は鉛フリーハンダの実装時の温度の260度Cでは融解せず、高い耐熱性を実現しました。 |
電気・電子分野ではここ数年の傾向である発光ダイオード(LED)やその応用部品あるいは液晶デバイス、有機ELなどフラットパネル・ディスプレー関連部品に関する応募は相変わらず多くありましたが、今回の特徴としてはパッケージ関連の部品・材料に優れた成果が見られました。
今回、日本力賞に輝いた住田光学ガラスと豊田合成が共同開発した「ガラス封止LED」は、白色LED用ガラス組成の開発から出発し、蛍光体の一分散、ガラス封止工程の最適化までをすべて工業技術として確立し、従来の樹脂封止では不可能であったLEDの寿命を大幅に改善したもので、市場拡大に寄与することが大きいです。
パッケージ関連の部品・材料では大日本印刷の「積層可能・超薄型0.15/0.2mm厚パッケージ用リードフレーム」、フジクラの「全層ポリイミドIVH多層配線板」、日東電工の「HDD用ワイヤレスサスペンション回路基板(CISFLEX)」にレベルの高い成果が見られ、小型化・高密度化を達成しています。これらの部品材料は欧州特定有害物規制(RoHS)を十分意識して製品化されているのも特徴です。
ソニーが開発した「裏面照射型CMOSイメージセンサー『Exmor R』」は、従来の画素構造とは異なり、シリコン基板の裏面側から光を照射することで、約2倍の感度や低ノイズなどの撮像特性を大幅に向上させたもので、画質に対するAV評論家の評価も高いです。
NECエレクトロニクスの「超解像システムLSI『μPD9245GJ」」も映像の画質向上を図ったもので社会的に大きな意義をもちます。メモリーが不要かつ実装面積を削減でき、また録画データの軽容量化は資源の節減にもつながり、まさに省エネに貢献できる製品とも言えます。